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2025.08.26

MODE SHOPPING 小野玲子の目利き 長月

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MODE SHOPPING 小野玲子の目利き 長月

 

モードショッピング 小野玲子の目利き 長月

 

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長月

 

旧暦で「長月(ながつき)」と呼ばれる9月は、「夜長月(よながつき)」が語源とも、「稲穂が長く伸びる穂長月(ほながつき)」が由来ともいわれています。少しずつ夜が深まり、空気の澄み方に季節の変わり目を感じる頃。残暑が残るとはいえ、肌に触れる風や夕暮れの光には、ほんのり秋の静けさが宿りはじめます。

 

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”色と香り”

 

そんな長月にお届けする今月のテーマは、「色と香り」。

 

秋は、空気が澄み、香りがふと心に残る季節。だからこそ、今月は「色と香り」の関係に、そっと目を向けてみたいと思います。

 

~色と香り、感覚の旅へ~ 「香りは想像する感覚である」〜 Jean-Jacques Rousseau

 

感覚の世界は限りなく広く、自由です。香りと色は、異なる感覚で捉えられるものの、心の深いところでそっと寄り添い、共鳴しあいます。色は「視覚」に、香りは「嗅覚」に訴えるものですが、それぞれが記憶や感情に強く作用する“感覚の扉”であり、その扉を同時に開くことで、イマジネーションの旅はより鮮やかに広がっていきます。

 

たとえば、好きな色や、なぜか惹かれる色。それに調和する香りを纏うことで、無意識の中にある“いまの自分”が、優しく浮かび上がってくることもあります。色と香りの共感的な重なりは、心理的なバランスを整え、自分を取り戻す手助けになるとも言われています。

 

近年、フレグランスはファッションの一部であるだけでなく、心のケアやライフスタイルの“質感”を高めるものとしても注目されるようになりました。香りが大脳辺縁系に働きかけ、気分や記憶、活力、安心感にまで作用することが、科学的にも知られてきています。

 

そして日本人は古くから、色と香りを「四季」という時間のリズムと結びつけ、季節のうつろいとともに、五感を繊細に育んできました。季節の花々や植物が放つ色彩と芳香は、まさに自然界からの贈り物。香りは目に見えないけれど、心に残る。色もまた、視界を通して感情の波を生み出すもの。このふたつが出逢うとき、私たちはもっと深く、自分自身とつながることができるのかもしれません。

 

 

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”Boodeur の原点と都市の香り”

 

私は、ファッションやライフスタイルの現場で長年培ってきた経験とともに、色彩と印象管理の専門家として、多くの人やモノ、ブランドの“印象”に関わってきました。ファッションはもちろん、空間や色、香りの印象が人の心に与える影響を大切にしながら、その知見を活かして、小野玲子がプロデュースしているのが、フレグランスブランド Boodeur(ボドゥール)です。

 

感覚の世界をカタチにしたいという想いから、“Boodeur(ボドゥール)”は生まれました。香りの原点である “R001” は、ブランド創設者としての想いや、香料ひとつひとつの個性が織り重なった、多様性と調和の象徴でもあります。名前に込めた「R」には、Boodeurという旅のはじまりを象徴する、大切な想いが隠されています。

 

そして、世界の都市のインスピレーションから生まれた香りたち。Paris、London、Antwerp、Sahara、Milan、Asuka … などなど、全15都市の香り。それぞれの都市が持つ空気感や文化、色彩の印象をもとに、ひとつひとつ丁寧に創りあげています。色や温度、風や音、記憶のかけら。その都市を訪れたことがあってもなくても、ふと心が動く瞬間が訪れる。そんな「感覚の旅」を、香りとしてそっと閉じ込めています。どれもが、誰かの「自分らしさ」をやさしく支えるものであれば…と、そんな想いを込めて、香りをカタチにしました。

 

 

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“香りの歴史” 〜香りと人の関わり合い

 

目には見えないけれど、確かにそこに在る香り。私たちはなぜ、香りに惹かれ、香りとともに記憶を残してきたのでしょうか。人類が香りと出会ったのは、「火」の発見とともに。燃やされた木々や植物が放つ煙、そこに含まれた芳しい香りが、はじめて私たちの感覚を揺らした瞬間だったのかもしれません。やがてその香りは、祈りや癒し、美しさの象徴となり、時代や文化を超えて、多様な意味を持つようになっていきます。香りは、ただの“いい匂い”ではなく、人のこころに寄り添い、人生の節目や祈りの場面に立ち会ってきた存在となっていきます。ここからは、古代から、香りがどのように人の暮らしと関わってきたのか。その「香りの歴史」を、ほんの少しだけたどってみたいと思います。

 

 

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“ 古代の香り文明” 〜エジプト・ギリシャ・ローマ

 

人は見えない香りに、目に見える意味を託し始めます。祈り、癒し、そして死後の世界までも包み込む香りの力。その深い信仰とともに、香りの文化を築いた最古の文明〜

古代エジプトへと、時はさかのぼります。神殿に焚かれた没薬(ミルラ)や乳香(フランキンセンス)。ミイラ作りに欠かせなかった香油。香りは神に捧げる“言葉なき祈り”として、人々の暮らしに深く根づいていました。

 

古代ギリシャでは、香りは“美と健康の象徴”として、哲学や医学とも結びつきます。ヒポクラテスは植物の芳香がもたらす効能に注目し、治療に香りを取り入れました。香油で体を清めることは、精神の浄化でもあったのです。

 

やがて古代ローマでは、香りはさらなる華やぎをまとい、贅沢と権力の象徴へ。公衆浴場や宴の場、日々の暮らしの中にまで香りが広がり、皇帝たちは“香る統治者”として自らを演出していきます。神に捧げられた香りは、人間の美意識と結びつき、そして、生活の中へと溶け込んでいったのです。

 

 

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フランス王妃と“香る庭園”

 

18世紀フランス、香水文化が宮廷で一つの芸術となっていた時代。ルイ16世の王妃マリー・アントワネットは、自然を愛し、ヴェルサイユの離宮「プチ・トリアノン」の庭園に深い愛着を抱いていました。彼女が信頼を寄せていた専属調香師ジャン=ルイ・ファージョンに託した願いとは。

 

それは「このプチ・トリアノンの庭園を、香水瓶の中に詰めてほしい」・・・

 

自ら選んだローズの品種をはじめ、イリス、黄水仙、ヒヤシンス…。咲き誇る花々の香りは、王妃にとって自由と安らぎの象徴だったようです。ファージョンは、王妃のその想いを受け取り、“香る庭園”を創り上げました。どこへ行くときも、大切な庭の香りを連れて。香りが、記憶と感情をそっと包み込む〜とてもロマンチックで美しい逸話ですね。

 

“ 皇帝とオーデコロン”

 

19世紀初頭、ヨーロッパの歴史を駆け抜けた皇帝ナポレオン・ボナパルト。その小柄な体型からは想像できないほどの覇気と行動力を持つ彼には、もうひとつの顔がありました。無類の清潔好き。石鹸を惜しみなく使い、香水を愛し、なかでも透明な輝きを放つオーデコロンをこよなく愛しました。その消費量は驚くべきもので、1か月におよそ60本。爽やかな柑橘の香りは、戦地であっても彼の心と身体を奮い立たせる“鎧”だったのかもしれません。遠征の際には、愛用のオーデコロンを必ず携行。そのために特別に作られたブーツに差し込める携帯ボトルは王室御用達の品となり、香りは彼の戦略とともに、ヨーロッパ中へと広がっていきました。香りは勝利の記憶とともに、皇帝の人生を彩る静かな伴奏者だったのです。

 

参考文献:

・エリザベット・ド・フェドー『香水の世界史 聖なる香り5000年の物語』

・小磯良江 監修『新しい香水の教科書』

 

 

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“東洋の香り”〜雅と祈りの調べ

 

西洋が花や柑橘の香りで華やぎを競った頃、東洋では木と煙が語らう静かな香りの文化が育まれていました。中国では古くから、沈香や白檀といった香木を焚き、その薫煙は宮廷や書院に満ちていました。やがてその香りは海を越え、日本へ。

 

平安時代、貴族たちは花や香木、薬草を巧みに調合し、季節や心情を映す「薫物(たきもの)」を創り上げました。香は衣や髪に移され、袖の香りで人を識別することさえあったといいます。室町時代には、その香りを聞く(感じ取る)所作や作法を芸道にまで高めた香道が誕生しました。香りを聞き分けたり、組み合わせの趣向を楽しむ組香(くみこう)や、和歌と香りを重ねる遊びは、五感を磨く雅な世界を築きました。こうして香りは、時代や文化を超えて人々の暮らしに息づき、祈りや美意識、日常のささやかな喜びを彩ってきました。

 

東洋の香りは、目には見えない“間”や“余白”の美を大切にし、静けさの中に深い物語を閉じ込めてきたのです。

 

 

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“Boodeur(ボドゥール)のParisの香り”

 

Boodeurが創り出す都市の香りの中で、フランスを代表するのが Paris。ブランド誕生から多くの方に選ばれてきた人気の香りです。ベルガモットの澄んだ光に包まれ、ミュゲやローズが柔らかく重なり、ラストにはウッディとムスクが静かに余韻を残す。それは、華やかさよりも品格とやさしさを大切にした香り。ふとした瞬間に、その人の佇まいを自然に引き立ててくれる存在です。

 

 

最後に

 

香りは、装いと同じように、その人の一日を静かに彩るもの。ふと香りが揺らぐ瞬間、そこに宿るのは、自分だけが知っている物語です。香りが、その物語の中でそっと寄り添い、あなたらしい時間を穏やかに支えてくれます。

 

新たな自分の再発見!
ライフスタイルを豊かにしてくれる色との出会いから楽しい時間をお過ごしくださいませ。

 

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