MODE SHOPPING 小野玲子の目利き 文月

モードショッピング 小野玲子の目利き　文月

七夕を迎える頃、空には夏の星座がきらめき、風の匂いもどこか軽やかに変わっていく季節、7月は「文月（ふみづき）」古くは手紙や書を交わし合ったことから、“文を綴る月”とも言われています。そんな文月に寄り添う色として、今月は「青磁（せいじ）」と「水柿（みずがき）」を、そして今回も6月に引き続き、大丸心斎橋店 本館5階の〈プレインピープル〉ショップから、この夏をしなやかに過ごすためのスタイリングをご紹介いたします。

青磁（せいじ）は淡い青緑色。その名のとおり、青磁器に見られるような、水を一滴ふくんだような静けさと透明感が特徴です。湿度の高い日本の夏にも、清らかな風を呼び込んでくれます。

一方の 水柿（みずがき） は、ほんのりと赤みを帯びた灰みのベージュ。干し柿のような濃さではなく、水をくぐらせたようなやわらかさが魅力。肌なじみがよく、ニュートラルな中に温かさを宿す色です。どちらも、日常にそっと彩りを添える「気配の色」。静かに主張し、そして心を整えてくれる色なのです。

Look 1：シルキーオーガンジーモチーフブラウス

静けさの中に、ふと花が咲いたようなそんな一着。深いネイビーの生地に、ふわりと浮かぶモチーフは、丸くカットされた半透明の生地を、ひとつひとつ、まるで花びらのように手作業で留めたもの。その繊細な表情に、静かな存在感が宿ります。かたちはごくシンプルなノースリーブ。“主張しすぎない美しさ”を際立たせてくれます。カジュアルなパンツにも、タイトなスカートにも。装いのトーンを引き上げてくれる、静かな華やぎのあるブラウスです。

ブラウス 税込25,300円

Look 2：タイプライタースキッパーシャツ（ライラック）

涼しげな風が、そっと体をすり抜けていくような、そんな一枚です。淡くやわらかなライラックの色は、甘すぎず、肌になじむやさしい印象。この季節の光に、静かに溶け込みながら、ほんのりとした知的な清潔感を運んでくれます。シャープな印象になりがちなスキッパーシャツも、袖の控えめな膨らみと、ふんわりと広がるテントラインの裾によって、柔らかいニュアンスに。生地は、軽やかでいて、ほどよいハリ感。肌離れの良さもあり、汗ばむ季節にもストレスなく着られます。合わせるなら、白やベージュのテーパードパンツがおすすめ。甘さを引き算して、きりりと仕上げるバランスに。

小物は、ブラックのモダンなアクセサリーや、ナチュラル素材の細めのバングルやトングサンダルなどで、さりげなく“都会の余白”をつくってみてはいかがでしょうか。一見シンプルでいて、計算されたディテールが光るこのシャツは、「きちんと」と「ぬけ感」のちょうどあいだを行く、まさに大人のための一枚です。

シャツ 税込33,000円

Look 3：カットジャカードシリーズ（イエローグリーン）

遠くからでも目を惹く、鮮やかなイエローグリーン。けれどただの鮮やかさではありません。繊細なカットジャカード素材は、花をモチーフにしながらも幾何学的に構成され、甘さを抑えた洗練された佇まいを感じさせます。

ラインアップは3パターン

・軽やかで奥行きのあるTシャツ型ブラウス

・スカートのように揺れるフレアパンツ

・潔く1枚で着映えるノースリーブワンピース

ワンピースは、構築的な素材感を活かしたシンプルなフォルム。すとんと落ちるラインに、光を含んだような立体的な表情が宿ります。肌離れの良い素材が、真夏の装いを軽やかに、でも印象的に仕上げてくれます。

スタイリング提案：

セットアップはモードなリラックススタイルとして。パンツやブラウスを単体で、色を主役に据えるコーディネートもおすすめ。ワンピースには、レザーサンダルや天然素材のバッグを合わせて、“都会の抜け感”を引き出して。ストールと合わせて「着こなしに詩を」鮮やかな配色のプリントストールは、このイエローグリーンと抜群の相性。首元に一巻き、またはバッグに添えて、アートをまとうようなスタイルに。まとうだけで気分が軽やかになる、そんな夏の「色」と「テクスチャー」を、プレインピープルらしく、静かに品よく。

Tシャツ型ブラウス 税込35,200円

フレアパンツ 税込52,800円

ノースリーブワンピース 税込64,900円

Look 4：パイルジャージー ノースリーブオールインワン（ベージュ）

暑さのなかで、服に求めたくなるものは、軽さと、潔さと、そしてやさしさですね。これはオールインワン。素材は、リネンのようなニュアンスを持つダブルフェイスのパイルジャージー。表面はブークレー調のナチュラルな表情、裏面はやわらかく、肌にふれた瞬間にそのやさしさを感じられます。シルエットは、体から少しだけ離れたストレートライン。構築的でいながら、どこか抜け感があり、気負わずに“きちんと見え”を叶えてくれます。両サイドの大きめポケットが、シンプルな中にさりげない存在感を添えて。

小物で遊ぶ「余白のスタイリング」

首元にアクセントを加えたくなる、たとえば、アートピースのようなネックレスを一筋。木やラバーなど異素材のものを合わせて、コーディネートに立体的なリズムを加えてみてはいかがでしょうか。バッグやサンダルは、あえて主張しすぎないトーンで、“着る人そのもの”の魅力を引き立てるのがおすすめです。

ノースリーブオールインワン 税込39,600円

Look 5：レースショート丈ブラウス（ホワイト／ネイビー）

光を透かすように揺れる、真夏の空気にぴったり寄り添います。このブラウスは、コットンローンにカットワーク刺しゅうを施したオリジナルレース。柔らかく、軽く、肌にも心にも涼しさを運んでくれる素材です。少し短めの丈感は、フォークロアのような愛らしさを秘めながら、甘すぎず、ほどよくモードな印象に。白とネイビーでは異なる印象。

ホワイトは、光そのものをまとうような清らかさ。素肌をやわらかく映して、涼やかな夏の顔をつくります。ネイビーは、刺しゅうの陰影が際立ち、シックな存在感。白のワイドパンツやリネン素材と合わせれば、品のあるリラックススタイルに。

スタイリング提案：

ハイウエストのボトムと合わせれば、自然とバランスが決まるショート丈。首元や袖の細やかなディテールが映えるので、アクセサリーは引き算で。代わりに、ラフィア素材のバッグやトングサンダルで“質感のコントラスト”を楽しむのも素敵です。

ホワイト／ネイビー ブラウス 各税込41,800円

Look 6：レースカシュクール風ワンピース（ブラック）

甘さを削ぎ落とした、レースの美学 。レース＝フェミニン、そんな先入観を、静かに裏切ってくれる一着です。Iラインを意識した、すっきりとしたシルエット。ウエストにかけてなだらかに流れるカシュクール風のデザインが、“抜けすぎない上品さ”を自然に演出してくれます。使用されているのは、“BROCHE”のケミカルレース。大胆な柄の刺繍が目を惹きつけながらも、ベースはコットン。だから、ラグジュアリーなのに取り入れやすい。さらに、裾はあえてスカラップではなくパイピング仕上げに。そのひと手間が、レースにありがちな“甘さ”を見事にカット。どこかモードなムードすら漂わせます。

スタイリング提案：

一枚で着るだけで、凛とした存在感を放つワンピース。アクセサリーはあえて省き、バケットハットやワントーンのレザーバッグを添えるだけで、静かな余裕を感じさせる夏のブラックスタイルに。足元は、黒のフラットサンダルでリラックスさせても、ヒールでシャープに仕上げても。その人らしさが映える、懐の深い一着です。レースを、もっと自由に。甘さではなく“意志”としてまとう、大人のためのブラックワンピースです。

ワンピース 税込53,900円

Look 7：breezy blue 日傘シリーズ

手しごとから生まれる、夏の詩 。陽ざしの強さを、そっと美しさに変えてくれる。「breezy blue」は、“注染”や“草木染”といった日本の伝統技法を用いて、すべての工程を国内の職人の手しごとで仕上げるブランド。日傘もまた、色と手間の積み重ねから生まれた丁寧な仕立ての一本です。

色をまとうように選ぶ3色展開

・イエロー：陽の気配をそのまま映したような、明るく軽やかな色。

・パープル：凛とした優しさを感じる、上品なグラデーション。

・ネイビー：静けさと品格。どんな装いにも寄り添う都会的な深み。

スタイリングの“仕上げ”としてワンピースに合わせて優雅に、セットアップの色にリンクさせてモダンに。日傘を添えるだけで、その人の「余韻」まで装いになる──そんな存在感がありますね。夏という季節を、ただの暑さで終わらせないためにも、日傘という名の“光のアクセサリー”を、ぜひ。

イエロー日傘 税込20,900円

パープル日傘 税込19,250円

ネイビー日傘 税込20,900円

最後に…暑さの中でも、自分らしく心地よく。身につける一枚が、日々の気分をそっと引き上げてくれます。季節を理由にあきらめるのではなく、季節に寄り添うおしゃれを、ていねいに楽しめるといいですね。

新たな自分の再発見！
ライフスタイルを豊かにしてくれる色との出会いから楽しい時間をお過ごしくださいませ。