更年期は人生のターニングポイント ホットフラッシュについて
汗が気になる季節になりましたね
朝、慌てて電車に乗り込んだものの、車内で汗が止まらず困った経験ありませんか?
吊り革を持った時、脇汗でにじんだTシャツを見て、脇をキュッと引き締めてしまったことはありませんか?
私はあります。
そもそも汗はなぜかくのでしょうか
汗について
場所:皮膚にある汗腺でつくられます。
成分:99%無臭の水からできています。その他にナトリウムなどのミネラルや乳酸、タンパク質などが溶け込んでいるといわれています。
働き:体温が上がった時に、上がりすぎないように身体の水分を「汗」として放散させ、体温を一定に保ちます。体重約70㎏の人が100㎖の汗をかくと、体温が1℃上昇するのを抑えると言われています。
汗の出る仕組み
脳にある「視床下部」が体温の上昇を感知し、「汗をかいて体温を下げなさい」という命令を出します。その命令が自律神経の一つである「交感神経」を介して全身に伝わり、「アセチルコリン」という神経伝達物質が分泌されます。この「アセチルコリン」が汗腺に作用すると、汗腺が血管から血漿(※1)を汲み取ります。ほとんどのミネラルは再び血管に戻りますが、残りの成分が汗として体外に排出されます。
またエアコンの普及や運動不足の影響で汗をかかない生活を続けると、汗腺の働きが鈍り、身体の体温調整がうまく出来なくなります。
※1血漿:血液に含まれる液体成分の一つで、血液の55%を占める。血漿はアルブミンとグロブリンからなるタンパクを約7.0%程度含んでおり、その他K、Na、Caなどの電解質やビタミンなどを含んでいる。
暑いとホットフラッシュになるの?
40歳をすぎたころから「ホットフラッシュによる汗に悩んでいる」って声を聞きます。
また、汗=暑い=身体を冷やす この連鎖反応で寒いと感じながらも我慢して身体を冷やしている方もおられます。
ホットフラッシュの汗
ホットフラッシュの汗は、通常の汗の仕組みで出ているのではなく、自律神経がうまく働かず、血管が縮んだり、開いたりする調整ができなくなったためおこります。
そもそもホットフラッシュってなに?
個人差もありますが、突然なんの前触れもなく、胸のあたりから上半身にかけてブワーっと強い熱感が広がります。発汗や動悸を伴う場合が多く、ジワーッと汗ばむ程度から滝のように汗がふきでてしまうなどその時々によって異なります。
このように、「ホットフラッシュの汗」の定義付けは難しいのですが、頭や首のうしろなど、普段あまり汗をかかないところに汗をかくのは更年期の特徴と言われています。
数分でおさまる方がほとんどですが、発症回数は数日に1回の時もあれば、1時間に1~2回と頻回に出現することもあります。
睡眠中におこると寝汗と感じ、冬場でも夜間に何度も寝汗で着替える人もいるほどです。
自律神経と女性ホルモンの関係
女性ホルモンは、卵巣から分泌されていますが、その卵巣に指令を出しているのは、脳の視床下部と下垂体です。
更年期になると、卵巣の機能が低下し、ホルモン分泌量が減少してきます。しかし脳は「もっと出せ」「もっと出せ」と指令を出し続けます。いくら指令をだしても、卵巣からホルモンが分泌されないため、脳は混乱します。
このような状態を繰り返しているうちに、ホルモンのバランスや自律神経が乱れてしまいます。
そして「ほてり」により暑いと感じると、脳の視床下部が「今私は暖かすぎる」と誤って感知し、体を冷やすように指令をだします。その結果、皮膚の表面近くの血管は拡張し始め、体温を放散しようとして表面への血流を増加させます。
だからホットフラッシュによる汗やほてりは体が暑いからでているわけではなく、体の放熱反応で、末梢血管が拡張し、皮膚の温度が上昇しているだけです。
放熱すると、体の深部体温が低下するため「冷え」として感じる人もおられます。
いつ頃から始まるの?
閉経前から閉経後の早期頃にピークを迎える方が多いと言われています。
期間は人によって異なりますが、2年以内に自然に軽快する人が多く、まれに10年以上持続する場合もあります。
また頻度もばらつきが多く、日本人女性ではおよそ40~70%経験すると言われています。
※日本産科婦人科学会 日本産科婦人科學會雜誌 49(7), 433-439, 1997-07-01参照
日常生活に支障がなければ放置しても構いませんが、程度が強く、日常生活に支障をきたす場合は治療をおすすめします。婦人科で相談してみてくださいね。
最後に
あなたに知っておいてほしいこと
のぼせ・ほてりには、ほかの病気が隠れていることもあります。
「ホットフラッシュだから」「いつかおさまるから」と自己判断をしないでください。
高血圧や甲状腺に異常がある可能性も考えられます。
たとえば、動悸、息切れ、頭重、手足のしびれなどがある場合は、※2高血圧の可能性があります。
※2高血圧:上の血圧が140mmHg以上、下が90mmHg以上の場合を言います。
閉経後は血圧が高くなりがちです。
今まで低血圧だった人も要注意です。
また、ホットフラッシュの症状以外にイライラ、発汗、脈が早くなる、体重減少などがある場合は、※3甲状腺機能亢進症の可能性も考えられます。
※3甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。
いつも同じ話になりますが、生活に支障をきたす症状が出ているときは、まずは専門医を受診してください。
さあ夏に向けて身体を養生しましょうね。
プロフィール:
岡下 真弓(おかした まゆみ)
ヘルスコンサルタント・薬剤師
大学卒業後、化粧品の研究員として女性の肌・薬品・女性ホルモンの研究をしていた時、「女性は生涯を通してホルモンと付き合っていかなければならない」ことを実感しました。女性ホルモンのバランスを整えることで、心も体も安定し、家庭や職場でもその人の能力や特性が最大限に発揮されることを知りました。
同時にホルモンバランスの乱れは、うつ症状、やる気の低下、気分のムラなどを引き起こし、女性が能力を発揮するのを妨げるのだということも感じました。
その後、薬剤師として多くの患者様と会話をしていく中で、病気や不調を抱え薬が必要になる前に、事前のケアが必要だと強く感じ、フリーランスになる。以降、医療よりも気軽にアプローチできるアロマを通じ、セミナー・講座などで女性ホルモンの啓発活動を続けています。
HP:biyou-do.jp
Instagram:bi_you_do_
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